蛋白質における酵素反応の分子メカニズムを明らかにするためには、その活性部位における基質やアミノ酸側鎖のプロトン化構造、水素結合状態、化学結合の生成・切断、結合強度変化など、詳細な原子・分子レベルでの情報が必要不可欠です。フーリエ変換赤外分光法(FTIR)は、そのような詳細な分子構造や相互作用、化学変化を調べるのに適した手法です。光合成蛋白質のように光に感応性のある蛋白質では、光誘起反応の際の微小赤外吸収変化(十万分の一の吸光度変化まで検出可能)を測定することによって、蛋白質複合体中での一つ一つの化学結合の変化を検出し、その詳細を調べることができます。また、クライオスタットを用いて試料を極低温まで凍結することによって、特定の電子移動成分のラジカル種や反応中間体をトラップする、低温トラップ法も有効な手段として用いています。 |